[3]遺言について

  • 遺言の効用
  • 公正証書遺言
  • 公正証書遺言の書き方  ※「遺言の原案」の具体例

(以下抜粋紹介)

公正証書遺言の書き方

公正証書遺言は、公証人が作成をしてくれますから、遺言者は「遺言の原案」を作成し、それを箇条書きにしてメモ書きをすればそれで十分です。

すべての財産を特定しなくても、公正証書遺言を作成することができます。何も難しく考える必要はありません。

公正証書遺言を作成する場合の要点は、次に掲げる3点です。

NO 公正証書遺言を作成する場合の要点 指定の委託
「相続分の指定」をすること 第3者に委託することができます
「遺産分割の方法を指定」すること 同    上
「遺言執行者を指定」すること 同    上

「相続分の指定」について

被相続人は、相続人の相続分を指定し、または、その指定を第3者に委託することができます。相続分の指定、または、指定の委託は必ず遺言でされなければなりません。

相続分の指定をすることにより、すべての財産の把握をしなくても、公正証書遺言を作成することができます。

相続分の指定の具体例

次のとおり各相続人の相続分を指定する。

  • 妻    尼崎 節子    10分の5
  • 長男  尼崎 健志    10分の2
  • 長女  大阪 花子    10分の2
  • 次男  尼崎 康志    10分の1

相続分の指定は、被相続人の意思を明確に打ちだすためにも、必ず被相続人自ら指定をすることをお奨めします。

「遺産分割方法の指定」について

被相続人は、遺産分割の方法を指定し、または、その指定を第3者に委託することができます。遺産分割方法の指定、または、指定の委託は必ず遺言でされなければなりません。

一般的には、「特定の財産」を「特定の相続人」に相続させる旨の遺言がされることが多く見受けられます。

一般的な遺産分割方法の指定の具体例

次のとおり各相続人の遺産分割の方法を指定する。

  • 1.妻 尼崎 節子は、次の遺産を相続する。
  • (1)尼崎市富松町1町目 地番5番 宅地 100㎡
  • (2)株式会社〇〇の株式  2000株
  • 2.長女 大阪 子は、次の遺産を相続する。
  • (1)尼崎信用金庫〇〇支店
  • (2)定期預金(口座番号0123)額面1000万円

(以下省略)

遺産分割方法の指定は、財産を特定して、被相続人自ら行うことが望ましいことですが、相続財産が多岐にわたりますと、財産を特定するのに時間と労力と専門的な知識を必要とします。

時間が掛かりすぎますと、遺言をしょうとする意欲が失われて、有効な手が打てないまま、遺産分割を相続人の協議にまかせることになります。

このような場合には、信頼のおける第3者に「遺産分割方法の指定」を委託して、公正証書遺言を作成されることをお奨めします。

被相続人自ら「相続分の指定」をすることにより、相続財産の相対的な配分が決まりますから、その相対的な配分の範囲内で「遺産分割方法の指定」を第3者に委託することは、被相続人の意思を十分に反映することができる有効な解決方法であると考えます。

すべての相続財産を特定することなく、短時間で、A4の用紙1ページの範囲内の簡単な方法により、「遺言の原案」を作成することができます。

相続が開始をしてから、特定の財産を誰が相続するかを決めたら良いことです。

「遺産分割方法の指定」の委託の具体例

遺産分割方法につきその指定を、次ぎの者に委託する。

  • 事務所 兵庫県尼崎市杭瀬南新町四丁目壱番弐八号
  • 住 所  兵庫県尼崎市杭瀬南新町〇〇丁目〇〇番地

税理士  上田 勝

昭和拾七年拾月拾五日生

「遺言執行者の指定」について

被相続人は、1人または数人の遺言執行者を指定することができます。遺言執行者の指定は必ず遺言でされなければなりません。

指定を受けた遺言執行者は、遺言どおりに手続きを実行する職務を負います。また、相続人は、遺言の執行を妨げる行為をすることはできません。

原則として遺言執行者には、誰でもなることができます。相続人も遺言執行者になることができます。

遺言執行者には、被相続人の配偶者・子供・身内の者で信頼のおける方を指定されることをお奨めします。

遺言執行者の指定の具体例

遺言執行者として、遺言者の妻 尼崎 節子(昭和弐拾年参月五日生)を指定する。